M&Aとは企業や事業の合併や売却、買収などの総称です。
近年は、企業の成長戦略や事業継承の手段として活発におこなわれています。
一般的なM&Aにおいては、売り手側には売却益を得たり会社の倒産を回避したりするメリットがあります。買い手側には、会社の規模を拡大したりシナジー効果が見込めたりするメリットがあります。
このように、売り手と買い手の双方にメリットのあるM&Aですが、場合によってはデメリットとなることもあります。
この記事では、M&Aで発生し得る売り手と買い手のデメリットについてそれぞれ解説するとともに、M&Aで失敗しないために押さえておきたいポイントについて紹介します。
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目次
M&Aの売り手のデメリット
ここではM&Aの売り手側におけるデメリットについて3つ紹介します。
買い手が見つからない場合がある
会社を売却したいと思っても、買い手側の企業がいなければM&Aは成立しません。
また、M&Aの買い手を見つけるのは簡単ではなく、いつまでたっても会社を売却できないケースもあるでしょう。
特に、経営難に陥っていて少しでも早くまとまったお金が必要な会社にとっては、買い手が見つからないことはデメリットになります。
自力で買い手企業を見つけるのは難易度が高いので、M&Aの仲介会社に依頼するなど、ネットワークを構築している専門家に依頼すると買い手が見つかりやすくなるでしょう。
希望の条件で売却できない場合がある
M&Aの買い手が見つかったとしても、売り手側の希望する条件や金額で会社や事業を売却できない可能性もあります。
M&Aの取引価格はあらゆる要素から算出され、売り手側が想定していた金額よりも安く買い叩かれてしまうというケースは少なくありません。
また、M&Aでは現在の収益性よりも将来の収益性に重きが置かれるため、現在は赤字でも将来性のある会社であれば高く評価され、逆に現在は黒字でも将来性がない会社であれば低く評価されやすい傾向にあります。
そのため、設備投資や営業力の強化、借入金の削減などあらかじめ企業価値を高めておき、買い手企業に将来性のある会社だと思わせることが大切です。
取引先や顧客との関係が悪化する可能性がある
M&Aによる影響は売り手企業と買い手企業の当事者間だけに及ぶわけではありません。
M&A成立後に、取引内容や契約内容などの変更があった場合、それを快く思わない取引先や顧客もいるでしょう。それがM&Aのデメリットとなります。
わかりやすい例として、M&Aの実施により取引が打ち切りになることもあります。
M&Aにいろいろと状況が変わる場合は、事前に取引先や顧客の元におもむき、丁寧に説明することで契約打ち切りなどのリスクを軽減できるでしょう。
ただし、M&Aの構想段階などで説明をしてしまうと、不安を煽ることになったり、インサイダー取引になったりする可能性があります。
そのため、取引先や顧客への説明はタイミングが重要です。
M&Aの買い手のデメリット
ここからはM&Aの買い手側におけるデメリットについて3つ紹介します。
あとから簿外債務や偶発債務が発生することがある
M&Aの成立後に、賃借対照表に記載のなかった簿外債務や、現段階では発生していないが今後表面化する恐れのある偶発債務が発生することがあります。
これらは、M&Aを進める際に徹底的なデューデリジェンス(売り手企業に対する調査)をおこなえば避けられる可能性が高まりますが、だからといって絶対に問題ないというわけではありません。
これらの債務は売り手自身も気付いていないことが多く、M&Aの成立前に完璧に把握するのは難しいといえるでしょう。
このリスクを回避するためには、可能な限り費用と時間をかけて、売り手企業の調査をおこなうことに加え、契約前に確認した事項が正確であることを売り手企業に保証してもらうことが有効です。
また事業のみの買収であれば、このような債務の引き継ぎをする必要はないので、このデメリットの回避には効果的といえるでしょう。
期待していたシナジー効果が発揮されない可能性がある
買い手企業は、買収する企業と自社の事業を掛け合わせることによって生まれるシナジー効果に期待してM&Aをおこなうのが一般的です。
また、このシナジー効果への期待値は取引金額にも影響するので、期待値が高いとそれだけ買収金額も高くなります。
しかしいざ実行してみると、新規の営業がうまくいかなかったり、想像以上にコストがかかったりなど、想定していたよりもシナジー効果が発揮されないといったケースはよくあります。
高い金額を出して買収をしたのに、求めていたシナジー効果が得られなければM&Aのデメリットといえるでしょう。
このデメリットを避けるためには、契約の際に決して過大評価をせず、適正金額でM&Aを実施することが大切です。
入念な事前調査により、できるだけ正確なシナジー効果を算出しておきましょう。
買収された企業の従業員から不満が出ることもある
M&Aにより買収された企業の社員は、買収した企業の社員になることが一般的です。
買収された企業の社員は、新たな環境で働くことになるため、給与や仕事内容、働き方、小さなルールなど多少なりとも変化を強いられ、これらの変化に不満を抱くこともあるでしょう。
特に、もともと買い手企業にいる社員と売り手企業からやってきた社員の間に待遇面における差があると、不満がたまり社内が険悪なムードになりかねません。
このデメリットを回避するためには、売り手企業からやってきた社員と密にコミュニケーションをとったり、仕事内容や職場環境に関するヒアリングを欠かさずにおこなったりして、摩擦が発生するのを事前に防ぐことが有効です。
中小企業がM&Aで失敗しないために大切なこと
M&Aをすることにより、売り手と買い手双方にさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットやリスクに直面してしまい、失敗する企業も存在するのが現実です。
ここからは中小企業がM&Aで失敗しないために、押さえておきたい大切なポイントについて紹介していきます。
事前調査を入念におこなう(買い手)
買い手企業は、デューデリジェンス(売り手企業の事前調査)を徹底的におこなうことがM&Aを成功させるためのポイントです。
デューデリジェンスはM&Aを進める上で極めて重要なプロセスであり、買収企業の財務や法務などの情報について事前に知っておくことで、M&A成立後に発生し得るトラブルやリスクなどを回避できる可能性が高まります。
デューデリジェンス費用は一般的に買い手側が負担しますが、時間や労力を惜しまずに調査をおこなうことが大切です。
適正価格で取引する(共通)
M&Aで失敗しないためには、適正価格で取引することも重要です。
売り手企業のなかには、買い手優勢でM&Aの契約が進められてしまい、本来の適正価格よりも安く買い叩かれてしまったというケースがあります。
一方で、買い手企業は適正な価格で買収できなければ、想定していたシナジー効果が得られなかったり、投資に見合った結果を得られなかったりなどM&Aをしたこと自体マイナスになる恐れもあります。
取引価格はあらゆる評価項目をもとに算定されます。
M&Aアドバイザーはこのような企業価値の算定もおこなってくれるので、助言をもらい双方の利害が一致するような価格での取引を目指しましょう。
信頼できるM&Aアドバイザーに依頼する
M&Aを実施するにはあらゆる分野の専門知識が必要です。
売り手にしろ買い手にしろ自分の力だけでM&Aを進めるのは、非常に難易度が高いといえるでしょう。
M&AのアドバイザーはM&Aに関する業界知識はもちろん、税金や法律などさまざまな専門知識を有しています。
またM&Aアドバイザーは業界で独自のネットワークを持っているので、M&Aの相手探しにも長けているといえるでしょう。
そのため、M&Aを考えている場合は早い段階からM&Aアドバイザーに相談し、サポートしてもらうことをおすすめします。
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