非上場企業の価値(株価)はどうやって計算する?

株価計算

事業継承や相続において、非上場の会社であってもその企業価値(株価)を算出しなければならないことがあります。しかし、上場企業と違い、非上場企業の価値は客観的な評価がしづらいものです。実務においては、どのように企業価値(株価)を算出しているのでしょうか。

今回は、非上場企業の価値(株価)の算出法について解説します。

非上場企業の価値(株価)算出の目的

そもそも、非上場企業の価値を算出しなければならない場面は、どのようなときに訪れるのでしょう。まずは、非上場の場合で株価を算出する代表的な目的を紹介します。

相続税や贈与税申告のため

先代経営者の死亡により株式相続が発生した場合、評価額に応じて親族やその他の後継者に相続税が発生します。この相続税を計算する際に企業価値が必要になります。
また、生前に株式を譲渡される形で事業を承継する場合は、贈与税が発生します。相続税と同様に、贈与の場合にも企業価値を算定する必要があります。

なお、贈与税の課税については以下、3つのパターンが一般的です。

  • 暦年課税
  • 相続時精算課税
  • 事業承継税制

暦年課税は、年間に基礎控除額の110万円以下の贈与ならば非課税になるという課税制度です。超過分は累進課税で課税されます。

相続時精算課税は、60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫へ贈与する場合において、一定額が非課税になる課税制度です。具体的には、2,500万円まで非課税となります。

事業を引き継ぐ場合に限り、一定要件を満たすことで事業承継にかかる税金を贈与者の死亡時まで猶予する制度があり、それを活用した贈与の方法があります。

M&Aでの参考指標とするため

M&Aを行う際に、非上場企業の価値算定を行います。この場合に用いる株価は、前述の税務上の株価とは異なります。

税務上の株価については法律などで厳密に規定されていますが、M&Aの場合は、原則として売手と買手が合意すればその金額で売買できます。つまり、需要の高い会社であれば株価は高くなるため、ある意味で上場企業と似たような値付けになるといえます。

なお、株式を譲渡(売却)をした場合、先代経営者には譲渡所得が生まれます。そして、その所得に対しては所得税や住民税が課せられます。

【参考】譲渡所得の計算式

譲渡所得 = 譲渡収入 -(取得費 + 譲渡費用)

非上場企業の価値(株価)の計算方法は?

続いて、具体的な非上場企業の価値を計算する方法を紹介していきます。

相続や贈与における3つの計算方法

類似業種比準方式

同業種で類似している上場会社の株価を参考にして評価する方法です。配当や利益、簿価純資産価額を比準して計算されます。主に、非上場の大企業にて用いられます。

純資産価額方式

純資産や負債の額をもとに評価する方法です。総資産から負債などを差し引いて計算をするため、バランスシートの純資産価額に近い額になるという特徴を持ちます。主に、非上場の小さな会社にて用いられます。

配当還元方式

過去の配当金から評価する方法です。同族以外が株主取得をした場合の、非上場株式の評価に用いられます。

M&Aにおける4つの計算方法

非上場企業の株価を計算する方法4つを紹介します。

1.コストアプローチ法

コストアプローチ法とは、バランスシートの資産や負債などから価値を算定する方法です。客観的なデータをもとに算定するため、比較的わかりやすい方法です。

会社が保有している資産を再調達すると仮定して株価を算定するため、純資産に重点を置いた手法といえるでしょう。

代表的なものに、簿価純資産法や時価純資産法などがあります。

2.インカムアプローチ法

将来的に期待される利益やキャッシュフローに焦点をあてた手法です。その企業の将来性に重きをおいて算定する方法であるため、   M&Aでの企業判断に用いられます。

ただ、今後の成長に対して重要になる事業計画が妥当であるかどうかで企業価値が判断されてしまい、恣意的になりやすいです。そのため、この方法を利用するときは、利害関係のない第三者機関に任せるのが妥当でしょう。

また、将来的な観測にづく算定方法なので、今後も事業が続いていくことが大前提となります。

代表的なものに、DCF法、収益還元法などがあります。

3.マーケットアプローチ法

マーケットアプローチ法は、株式市場、M&A市場における株価や取引価格に基づき、株価を算定する方法です。対象企業のみならず、類似企業の経営状況も参考にするため、市場の傾向を反映した方法といえるでしょう。

メリットは、客観的に会社の株価を査定できる点です。一方デメリットは、株価の急激な変化による影響を受けやすいという点です。

代表的なものに、取引事例価額法、類似会社非準法などがあります。

4.WACC法

WACCとは「Weightred Average Cost of Capital」の略で、日本語では加重平均資本コスト法と呼ばれます。この方法は、対象企業が資金を調達する場合にかかるコストの平均値を指すものです。

この手法におけるコストの考え方には2通りあります。

借入や社債などによって資金調達する「負債コスト」

負債コストとは、主に「借入金」や「社債発行の際の費用」を指します。

負債コストは企業の信用度合いによって変化し、事業のリスクが小さいほど、負債コストは小さくなる傾向があります。また、市場の傾向によっても変化し、リーマンショックのような経済危機がおきると、資産取引の流動性が低下し、負債コストは全体的に上昇する傾向にあります。

出資などによって資金調達する「株主資本コスト」

株主資本コストは、どの程度のリターンを株主に対してもたらせるかという指標です。この場合のリターンとは、配当や株式の値上がり益を指します。

株主資本コストは市場の動向などさまざまな要因で変動するため、精細に算定するのは困難です。そのため、株主資本コストを算出する際には、CAMP(資本資産価格モデル)などのフレームワークが使われます。

非上場企業の価値(株価)算定で必要な書類

非上場企業の価値(株価)を算出するためには、書類の準備も大切です。ここで、必要書類一覧も確認しましょう。

◯非上場企業の価値算定に必要な書類一覧

  • 賃借対照表
  • キャッシュフロー計算書
  • 損益計算書
  • 設備投資計画書
  • 事業計画書
  • 株主名簿
  • 類似業種の上場企業資料
  • 事業報告書

会社の状況や目的に応じて、必要書類には多少の違いがあります。そのため、実際に用意する際には。税務の目的であれば税理士、M&Aの目的であれば専門のアドバイザーに必要な書類を確認するとよいでしょう。

まとめ

非上場企業の株価算定には、高度な知識を要します。そのため、計算をする際にはその道のプロに依頼することが賢明な選択でしょう。

当サイトでも不動産業界に特化したM&Aのサポートを実施しています。関連するアドバイザーを探している方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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