不動産屋(宅建業者)の廃業は増えている?廃業率や生き残る方法など解説

今回は不動産屋(宅建業者)の廃業について解説します。

毎年どれくらいの数の事業者が廃業しているのか、どのような理由で廃業することが多いのか、廃業させない方法はあるのか、そしてご自身が廃業するときに押さえておくべきことはなにか。

それぞれみていきましょう。

中小の不動産屋における廃業率はどれくらい?

今ではよく知られるようになりましたが、不動産屋はコンビニより多く存在します。令和3年のデータでは、その数、約12万8,597。

そのうち、どれくらいの事業者が廃業しているのでしょうか。そして、廃業事由には何が多いのでしょうか。

令和3年度の廃業率

令和2年から3年にかけて、転出や免許取り消しを除いても3,934業者が廃業しています。前述の総数に占める割合は、約3%です。

中小企業白書によると、一般的な企業では1年後に27%がなんらかの形で廃業しているため、宅建業の廃業率は決して高くはないでしょう。

下のグラフは、廃業した宅建業者数の推移です。

直近約10年間の廃業数は横ばいですが、それ以前は5,000業者以上が廃業している年もみられます。

ちなみに、平成11年と令和3年の宅建業者数を比べると、約1万5,000業者の純減です。直近はやや増加傾向にありますが、全体としては右肩下がりで、その間に非常に多くの事業者が廃業しています。

出典:令和 3 年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について|不動産適正取引推進機構

主な廃業事由

廃業の理由として多いのは、以下の2つ。

  • 経営難
  • 後継者不足

ひとつは、経営が傾いたことによる廃業です。単に経営努力の問題で傾くケースもありますが、不動産を扱う以上、景気など市場全体の動きにも左右されます。

実際、平成20年のリーマンショック前後で廃業数が多くなっており、景気のあおりを受けるケースは少なくないことがわかります。

もうひとつは、後継者がいないことによる廃業です。多大な資産をもち、一定の利益を上げ続けている事業者でも、後継者がおらず廃業するケースがあります。

事業承継に関する日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者の約半数が「廃業予定」と回答しています。

後で触れますが、事業承継が問題となる廃業については、近年はM&Aでの問題解決が一般化してきています。廃業を回避し、従業員が安心して働き続けられる環境づくりができうるので、有効な手段として押さえておきましょう。

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廃業せずに存続させる方法はある?

続いて、廃業せずに宅建業を続ける方法について説明します。

前半は経営難を回避するための方策、後半は経営難・後継者不足の両方を回避する手段の紹介です。

集客方法や業務効率の改善

ここでは一例として、DX化による改善を紹介します。

不動産業界は、「未だにFAXが主流で……」など、旧態依然の企業体質を指摘されがちです。

しかし実は、部分的なDXはかなり進んでいます。集客という観点では、大手ポータルサイトの台頭によって顧客獲得でインターネットを介さないことはほとんどありません。最近はコロナ禍で、電子契約サービスやオンライン内見、重説などが普及しはじめています。

「業界全体が遅れているからうちも気にしなくていい……」と考えていることが、赤字経営が続く原因かもしれません。

昨今は、DXで差別化を図る宅建業者も増えてきています。手厚いサポートにより、新しいツールでも案外かんたんに導入できることを多いようなので、改善の足がかりにするのもよいでしょう。

M&Aによる存続

M&Aとは、事業の買収や合併のことです。会社をほかの会社に売却するなどして、全体で見たときによりよい形を目指します。

「後継者がいない」という悩みは、然るべき後継者(買い手)を見つけることで解決します。オーナー自身も売却益が得られるため、これまで心血を注いだ事業を無駄にせずに済むでしょう。

また、M&Aなら既存のリソースでは解決できなかった問題をクリアできることもあります。たとえば、DXに課題を持っていた宅建事業者が、不動産テックの会社と合併することで、大きなシナジーを発揮できるケースもあります。

不動産業の廃業手続きは?

具体的に廃業を考えている方に向け、廃業手続きについても説明します。

必要書類

廃業する場合は、宅建業法11条にもとづき、廃業等届出書(廃業届)が必要です。

この書類を、廃業理由に該当することになった日から30日以内に、宅建免許を受けた国土交通大臣または都道府県の知事に対して提出します。届出の受付をもって宅建免許は失効します。

参考:廃業等届出書の作成

分担金の取戻し

保証協会に加入している場合は、弁済業務保証金分担金60万円を取戻すことができます。

  1. 廃業届のコピーを保証協会に提出します。
  2. 保証協会が、官報公告や各種手続きを行います。
  3. 6カ月間公告します。
  4. 各種手続き完了後、分担金が返還されます。

なお分担金からは、手続きにおいて発生した手数料が差し引かれます。

供託金(営業保証金)の取戻し

保証協会に加入していなければ、法務局に営業保証金1,000万円を供託していると思います。これを取戻すには、以下の手続きを要します。

  1. 届出の提出後、官報にて廃業公告をします。
  2. その後、都道府県に営業保証金取戻し公告届を提出します。
  3. 6カ月間公告します。
  4. 期間満了後に発行できる証明書を都道府県に提出します。
  5. 法務局にて、供託金の取戻し手続きを行います。

手続きにおける注意点

廃業の手続きは、意外と面倒です。書類関係で複雑なだけでなく、時間がかかるので廃業のタイミングなどの調整にも苦労します。

また、廃業をすることのメリットは多くありません。そうであるなら、事業を別の形で存続させられて、かつ仲介会社に手続きの大半を任せられるM&Aを検討するのもよいでしょう。

当サイトでは不動産を専門に扱うM&Aサービスを提供しています。お困りのことがあれば、ぜひご相談ください。

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